それを感じて目を覚ましたのか、目を覚ましたから感じたのかは分からなかった。
 ただ、その必要なものが欠けているような違和感は、屋敷から出るのには充分な理由と
なった。
 全く、従者の主をやるというのも大変なものだ。
 時として不始末のかたをつけなければならないし、間違いを諭す必要もある。
 けど、それもこれも主の楽しみとなる。その従者が気に入っているのだから。
 ――さあ、行こう。
 瀟洒なメイドの間違いを正しに。/未来の剣達へ意味を伝えに。




 清流、されど暴風のような力強さを持った妖夢の一撃。
 それは濁流、しかし涼風のような流麗さを持った連撃に阻まれた。
(――全方位からの攻撃は不可能か)
 ならばと、速度を、攻撃を、全て一点につぎ込んだ。
 咲夜の展開する、赤い刃の結界を打ち破るために集中する。
 一の刃を持って十の刃を砕く。閃光の如く駆け、剣を振り下ろし、弾かれて退き、間も
なく再び走る。
 それを、息の続く限り繰り返す。
 その最中、刹那に思い返すは春の戦。
 ――一度取った不覚は、
「二度とは繰り返させない――!!」
 声の無い咆哮。しかし、それは確実に咲夜へと届いた。
「―――――」
 スペルカードの魔力、術式全てを注いだ紅い目と神速の腕を振るいながら、咲夜は何重
にも重ねられた一撃の大群を受け止めている。
 その姿は精密な殺人人形。完璧なる殺害者にふさわしいものだった。
 ただ、本人の心境はそんな姿とはかけ離れている。
(真っ直ぐな子ね)
 実を言えばほとんど余裕がないほどに拮抗しているが、それでも感じたままを表現する
ことは止められない。
 ただ護りたいもの、自分が使える主のためにひたむきになれる妖夢の姿は、咲夜をして
惚れ惚れとさせるものだった。その方向性はしばしばずれているようだが。
 だから、確信する。まだ――
「!!」
 ひときわ強い衝撃が腕を走り、その痺れと鈍い痛みが思考を霧散させた。
 妖夢の一閃が、より強さを、速さを増している。
(まだ、速くなる――ですって!?)
 一瞬生まれた焦り。それが、咲夜の攻撃を加速させた。悪手だと分かっていても。
 二重、三重、四重――かの境界を操る妖怪にも劣らぬ赤の結界を張り、光すらも斬り裂
くに違いない、と確信するほどの鋭さで妖夢の行く手を阻む。
 だが、永くはない。
 より速く、より強くするほどスペルの持続時間は短くなる。
 妖夢も同じ条件のはずだったが、顔を伏せ、斬撃に専心するその姿からは一切の焦りは
見えない。当然だろう。最初の一撃を交えた時点で、彼女はすでに全ての迷いを払い落と
している。
 ただ、眼の前に立ちはだかるモノを打ち倒すのみ、と。剣が語っていた。
 かすかな戦慄が背中を走る。
 そして、
『――――――!!』
 瞬間、全身が重くなった。振り戻り、再び走らせようとした腕が鈍く感じる。
 同時に、ガラスの砕けるような、風船の弾けるような儚い音が響いた。
 スペルカードが役目を終えたのだ。
 それが光と散って風に踊る最中、しかし二人の動きは止まらず、
「はぁっ!!」
「せやっ!!」



 最後の一撃を放った。




 着いてみれば、すでに決着がついていた。
「腕が落ちたかしらね、うちのは」
 聞いている者など居はしないだろうが、それでも溜息とともに呟く。
 もちろん、彼女が本心からそのことをいっているわけではない。その働きはすでに十二
分だし、それ以上を望もうとは思わない。そして周囲の状況からして、彼女の腕が落ちて
いるなどとは思えない。
 だとすれば、相対する方が――
「む、どっちもまだやる気か」
 双方が再び動きを見せ始めた。
 これ以上は不毛だろうと考えて、止めに行くことにした。
 何しろ、そもそも彼女は相手を間違えているのだから。


 まだ決着は着いていないように見えた。ただ双方ともじっとしているだけで。
「取り返しはつきそうね」
 のんびりと考えていることをそのまま口に出す。意味はない。
 とりあえず仲裁しようとふらふら向かい、彼女は自らの従者を思う。
 真面目なのはいいけど、ときどき前が見えなくなっている。
 折角だから今日はその辺をつついてみよう。
 未熟であることは自覚していても、それがどういうことであるのか、少し見失っている
ようだから。




 土ぼこりが沈む。
 その後には激しい剣戟で荒れた土と草花。
 それは、周囲の緑からから浮き上がって、非常に痛々しい姿に見えた。
 最後の一撃を互いにぶつけた結果としては引き分けだろうか。どちらもまだ立っている。
 しかし咲夜は右腕を押さえてかすかに顔をしかめ、妖夢は左肩からやや存在感の薄い血
を流していた。
 一瞬の交錯。その最中、勢いを失わなかった妖夢の一撃は、咄嗟に受けた咲夜の右手の
ナイフを叩き切り、咲夜も咄嗟に退いたものの、その二の腕から肘にかけてを捉えていた。
そこには紅い筋が走り、静かに血をこぼしている。切っ先一寸だけだったが、受けた傷は
浅くなく、すでに握力は残っていなかった。
 そして妖夢は、咲夜が無意識に投げた左のナイフを受けていた。赤い色が銀色の刃に絡
み付き、その光を吸っている。何とか引き抜くものの、だらりと下げられたその左腕は、
すでに機能を発揮できないことを暗に示していた。
 双方、片腕を封じられた痛み分けである。
「……引き分け、といったところかしらね。もう……帰ろうかしら」
「ただで、帰れると思って?」
 咲夜が溜息と一緒にこぼした言葉に、ぼそりと妖夢がやや怖い声で答えた。
「あなたはその前に庭を手入れし直さないといけないんじゃなくて?」
「お前を斬ってから考えればいい」
 どうやら闘争心が収まっていないらしい、敵意剥き出しなのが良く見える。
 その様子に、咲夜は苦笑した。今、背を向ければ斬られるだろうし、戦っても斬られる
かも知れない。だから、とりあえずはきっかけを探すことに集中する。向こうの傷も浅い
ものではない。だとすれば、そうそう仕掛けてはこないと考えて。
「怒られるんじゃないの? 貴方の呑気な主人に」
「幽々子様を危険に晒すくらいならそんなこと……」
 茶化すなと激昂する妖夢に、咲夜が再び水を差した。
「あなた、主人を護るだけが従僕の仕事じゃないわよ?」
「知っている。だが、危険が目前にあって目をそらす阿呆はいないでしょう」
 そのことに苛立ち、妖夢は眼光鋭く睨む。刃のような光は、ほんの少しだけ咲夜に鳥肌
を立たせた。ただ、それは予測していた通りだ。
 彼女はまっすぐだから、奇手や搦め手にはかかりやすい。
「……もう、あなたとやる気はないわよ?」
「もう一度来ないという保証はあるまい」
 その言葉で最後だ、といわんばかりに語気を強める妖夢。構えた剣がかすかに揺らぐ。
力が入りすぎているのだ。
 ――かかった。
「……しょうがないなあ。ま、いいか。……こうすればいいだけのこと!!」
 言い捨てたその一秒、咲夜はあっさり消え去っていた。
「……なっ!?」
 完全に虚を突かれた。
 ――時を止めて逃げた!?
 怒りの残滓と焦りが、妖夢から冷静な思考を奪う。
 だから、背後の気配に気がつかない。遠ざかり、しかし強さを増す気配。
 それは、魔力とも気ともつかない、無色の力。ただ一つを行うための燃料だ。
「……だから、あなたはまだ未熟なのよ、庭師さん」
 遠くから声が届く。だがそれは、耳元で囁かれているような不気味さで妖夢に届いた。
「!?」
 息すら呑んで振り返る。
 すでに、光弾が迫っていた。
「うわっ!?」
 腕が無意識に反応し、それを切り払った。
 だから、二撃目は防ぐことが出来ない。
「あ――」
 妖夢が身を起こして相手を視界に入れようとしたとき、
 視界は、無数の銀の刃によって覆われていた。
「……クロックコープス。命は取らないけど、それ以上は保証しないわ」
 怖い声で、咲夜が審判を告げている。
 その声を受けて、妖夢はどうして、と考える。
 ――何故、あえて力を封じたのか。
   何故、不利なはずの斬り合いに持ち込んだのか。
   何故、あんな、逃げるような素振りをしたのか。
 それは、すべて自分が油断する一瞬を作り出すために。
 時を止めるため、痛みによって意識を集中し、言葉によって時間を稼ぎ出した。
 ――失念していた。
 奇術師は、信じた時点で騙される。
 彼らは、あらゆるものを騙すために活用できるのだ。
 そして、自分はその奇術に絡め取られたのだ。蜘蛛の張った糸に足を取られたのだ。
(やられる……)
 悲壮なまでに現実を受け止める。
(でも!!)
 それでもなお、まだ動く右手で楼観剣を握りしめた。今、ここで倒れないために。
 残った力をかき集めて、残っている符を介して剣に注ぎ込んだ。
 少ない力を無理に注ぎ込んだ代償に、一瞬だけ意識が遠くなる。
 その、走馬灯のような感覚の中、祖父の、幽居する前の最後の言葉を思い起こした。
『お嬢様の全てを託す。決して、独りにはせぬようにな』
 それは今もなお声とともに思い出せる誓い。
 そして、初めて仕えるべき主人と対面した時の感覚もよみがえる。
『貴方が妖忌の後継ぎ? うふふ、思ってたより可愛いのね』
 ――それは、とても自由で朗らかで、わがままだけど従者想いで、
『それじゃ、これからよろしくね。――妖夢』
 本人すら気づかないような、かすかな寂しさを持った、あの姿。
 妖夢は気づいた。祖父がかすかにのみ語った、主人の持つ物騒な力と、思い出すことの
ない生前に根があると。

 意識が呼び戻される。手に在るのはありったけの力を込めた愛剣。
「断迷剣――」
 だから、あらゆるものから護ろうと志し、多少の無茶なわがままも聞いて、敬愛して仕
え続けて、己が剣を高みへと登らせてきた。
 ――いつか、その寂しさから、主人が気づく前に、護りぬけるように。
 だから、この場で負けるわけにはいかない。
 まだ、最初の一歩すらおぼついていないのだ。
 ナイフが堰を切ったように殺到する。洪水どころではない。もはや鋼の津波だ。
 だが、それを斬る。
 振り切った腕を無理矢理引き戻し、迫る刃に追いつこうと構える。
「迷津慈航――――」
 妖夢はおそらく最後となるであろうスペルカードの宣言を口にし――


 すべてが、静止した。


「な……」
 振り下ろそうとした腕が、石になったように動かない。
 何事かと見れば、後ろから白露のような繊手が伸びて、妖夢の手首に絡みついていた。
 ひんやりとしていて、しかししっとりとした暖かさを持ったその手は、しかし万力のよ
うな力が宿り、妖夢の動きを封じている。
 そして咲夜のほうにも異変が起きていた。
「……これは、まさか」
 呆然と呟く咲夜の視線の先には、もはや止められない奔流と化していたナイフの群れが
全て静止している光景。よく見ると、無数の淡い輝きがそれに取り巻いている。
 ――死蝶だ。
 死を誘う蝶に捉われた刃は、じわじわとその身を錆びさせ、やがて力を失って地面へと
落ちた。ナイフとしての、金属としての命を終えたのだ。
「もう、勝負の止めどころくらい考えたら? 癇癪起こした子供じゃあるまいし」
「そうね。これ以上うちの庭師をいぢめるのは遠慮してもらいたいわ。私のだし」
 まるで幼女のような、しかし謎めいた深みを持った不気味な声。
 そして柔らかでのんびりとした、つかみどころのない声。
「レミリア様!?」
「幽々子様!?」
 異口同音。互いの主人の名を思わず口にした。


「……やれやれ、有能なのはいいけど、伺いくらい立てるべきじゃないの?」
「それは、そうでしたが。ですが何故ここが?」
「あれだけ妖気がただよってて、あなたがいなくなってるんだもの。ついでにいえば丁度
いい前科者がいるし、ここに来ることくらいは運命を読まなくても分かるわよ」
 怒っているのか呆れているのか分からない表情で溜息をつきながら、レミリアは妖夢か
ら手を離すと、そばにあった古木の木陰に入った。日傘があっても、やはり日光は嫌いら
しい。
 その様子に珍しく咲夜が狼狽している。いかに奇術師でもこれは予想外だったらしいの
か、表情には出てなくとも立ち振る舞いが落ち着いていないのが見て取れる。
「そうよ妖夢。お客様が来たことくらい教えてくれないと困るじゃないの。お茶やお茶菓
子の用意とか」
「ですが、幽々子様を狙う賊だったら……」
「それは大丈夫よ。最近珍しいお茶が手に入ったし」
 それとは対照的に、幽々子は困ったような微笑んでいるような表情を浮かべてそんなこ
とをいっている。本当につかみどころがない。
 妖夢もまた主のそんな呑気すぎる様子に、かすかに表情を険しくしたが、すぐに脱力し
て、刀を鞘に収めて、その横へかしずいた。
 彼女と会ったことのある人ならわかるだろうが、話していると肩肘を張るのが馬鹿らし
くなる。あまりの呑気ぶりに捕らわれてしまうのだ。
「……まあ、お仕置きは後回しにするとして」
 なにやら物騒なことをいいながら、咲夜をずっと見つめていたレミリアが幽々子の方へ
振り向いた。見つめられ続けて身体をこわばらせていた咲夜が、視線を外された瞬間に力
が抜けたのか、少しだけよろけると、慌ててレミリアの傍らへと立つ。
 実をいえば、レミリアはただ咲夜を見つめていただけで、特に怒っていたわけではなか
ったのだが、咲夜がどうもそんな風に受け取ってしまったらしい。
「さて、単刀直入に聞くわ、亡霊の姫」
 咲夜を嗜めていた時とは違う、静かで鋭い声が幽々子に走る。それは、昼でありながら
夜を意識させる、妖怪においても最高レベルの眷属である吸血鬼の言葉だった。
「うーん、別にいいですけど。夜の生活とかは答えるわけにはいかないわよ?」
「ゆ、幽々子様それは誤解を招きます!!」
 突拍子もない発言に、妖夢が慌てた。
「あら、私は夜食のことをいったのだけど。いつごろだったかしら、あの雑炊はおいしか
ったわねぇ」
「…………う」
 しれっといいつつ、赤くなっている妖夢をくすくすと笑いながら見つめる。
 ……口元に当てた扇子と、意味ありげな流し目が妙な勘繰りを誘発させなくもない。
「ああもう、すぐに終るから大人しく聞きなさい。そこそこ真剣になってるこっちが空し
くなるわ」
 実際空しくなっているのか、レミリアはそのやり取りを見つつ溜息をついた。
 ようやく幽々子が視線を向ける中、さて、とレミリアは呟いて古木に背中を預け、日傘
を咲夜に持たせると、
「――この妖気、貴方の仕業?」
 ナイフで一突きするような、簡潔な言葉で問うた。
 妖夢の表情が間髪いれず鋭くなる。だがそれは、怒りとかすかな悔しさで曇っていた。
 それを皮切りに、再び身も心もくすぶり始める。思わず、刀に再び手がかかり、


「違うわ」


 その念を払い落とし、レミリアの言葉を叩き落すように、間をおかず幽々子が答えた。
妖夢が思わず顔を上げると、幽々子がかすかに目線をやって、微笑んでいた。
 ――いいのよ。
 そんな風に、諭されている気がした。
 レミリアはその返しの早さに面食らったが、それはやがて苦笑になった。
「そうか。……帰るわよ」
「え、ですが」
 あまりにもあっさりとした引き際。瀟洒に日傘を渡しつつも、咲夜は思わず疑問を投げ
ずにはいられなかった。
「咲夜。あなたって妙な所で抜けてるわよね」
 その様子にレミリアは溜息をついて、古木に片手を突きながら――ちょっと行儀が悪い
――いきなりそんなことをいった。
「妖気は妖怪が出すものよ。幽霊が出すのは霊気」
「あ」
 レミリアの簡潔な回答に、咲夜が意を得たような表情をして、次に少し呆然として、最
後に顔を少々赤らめて身を縮めた。自分が豪快に失敗したことに気づいたようだ。
「いい加減な分類ねぇ。実際の区別は出涸らしのお茶みたいなものよ?」
「別に不都合はないから良いのよ。……じゃあ、もう会うことはないかもしれないけど」
「あら、お茶くらい飲んでいけばいいのに。ゲルセミウム・エレガンスっていう珍しいも
のなのよ。ご賞味いかが?」
「それは猛毒よ」
 最後につっこみだけ入れると、レミリアはまだ縮こまったままの咲夜の袖を軽く引っ張
って促すと、日傘をくるくると回して去っていった。
 その姿が消えるまで見送って、妖夢は幽々子に向き直ると、頭を下げた。
「……申し訳ありません」
「あらどうして?」
「もう少しで、幽々子様を危険にさらすところでした」
 か細く、その声は震えている。思い返しているのは、咲夜との戦いだろうか。それとも、
心を平常を保つことがかなわなかった、先ほどまでの自分だろうか。
「あら、結局大丈夫だったんだからいいじゃない」
「ですが!!」
 思わず声を上げて、妖夢は幽々子を見つめる。その目には、涙が浮かんでいた。
 ――護ろうと誓ったのに、こんな無様を晒して。
 そんな自分が、許せなかった。
「……私は、私は――従者として失かむぐっ?」
 いいかけた言葉が幽々子の指に遮られた。いきなり口に人差し指を突っ込まれたのだ。
「はいはい、それ以上言ったら駄目よ」
「むー!? むー!?」
 逃げようとする妖夢の顔を狡猾に固定しながら諭す幽々子だが、その顔は諭すというよ
りもからかって楽しんでいるような表情だった。
 しばらくばたばたともがく妖夢を楽しんだ後、幽々子はやっと指を離した。
「ぷはぁっ……い、いきなり何をするんですかっ!?」
「うん、そっちの方が妖夢らしいわ」
「……え?」
 突然の言葉に、妖夢は目を丸くした。
「いいじゃないの、未熟だって。今足りないことより、これから届くことを考えなさい」
 そういって、主は微笑んだ。
 あんまりにも唐突で、簡単な言葉。
「……はい!!」
 けどそれが、今は何よりも嬉しかった。
「それじゃ、とりあえずえぐれちゃった庭、綺麗にしておいてね。十円ハゲみたいだから
みっともないわ」
「あ、はいただいま」
「あと五秒ね」
「みょんっ!?」
 いつものように言葉を交わして、
 ――ありがとうございます。必ず、貴方を護れるようになります!!
 心の中で、妖夢は再び頭を下げ、誓いを捧げた。




「ああ、ところで咲夜」
「は、はいなんでしょうかお嬢様」
「別に怒ってないからいいわよ。……勝てたと思う?」
「もちろんです」
「危なかったわよ」
「え?」
「あの子の最後のスペル、貴方に届いてるのが見えた」
「……男子三日会わざれば、か。本当にそうですね」
「あれは女の子じゃない」
「いやまあそうなんですけど」







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